はじめに|外出先でもトラックボールを
普段はフリーランスとして自宅でMac作業をしています。
MX ErgoとMagic Trackpadの組み合わせての操作にすっかり慣れて、とても快適です。
でも最近は、他の会社で社用PC(Windows)を借りて作業することも増えてきました。
その環境だと普段のようにトラックパッドを使えず、用意された普通のマウスを使うことに。
するとどうしても操作感が合わなくて、手が疲れたり、首や肩がこったりするんですよね。
「やっぱり自分にはトラックボールやトラックパッドの方が合ってるな」と改めて実感。
そこで外でも快適に作業できるように選んだのが、Logicool M575SPでした。
今回はこのM575SPを、実際に使って感じたことを中心に紹介していきます。
仕事用のトラックボールとして優秀ですよ、これ。

M575SPとは?

M575SPは、ロジクールが出しているトラックボールマウス「M575S」の後継モデルです。
基本デザインや使い方はそのままですが、Logi Bolt対応 と 静音クリック が新しく加わったのが大きな違いです。
項目 | 仕様 |
---|---|
サイズ | 134 × 100 × 48 mm |
重量 | 145 g(電池込み) |
接続方式 | Logi Boltレシーバー(USB-A同梱)、Bluetooth Low Energy |
センサー | アドバンス オプティカル トラッキング |
DPI | 公称400/最大2000 |
ボタン数 | 5(うち3つはカスタマイズ可能) |
電池 | 単三電池×1(同梱)、最長18か月駆動 |
対応OS | Windows、macOS、iPadOS、Linux、ChromeOS、Android |
カラー | グラファイト/ホワイト/ブラック |
保証 | 2年間無償保証 |
- 前モデルM575Sからの進化点は「Logi Bolt対応」と「静音クリック」。
- 電池駆動(単三×1本)で最長18か月と長寿命。
- 同梱のレシーバーはUSB-A(電池蓋内に収納可能)。
- Windows、Mac、iPadOSなど幅広いOSで使える。
- カラーバリエーションは3色(グラファイト/ホワイト/ブラック)。
MX ErgoユーザーがM575SPを選んだワケ

据え置きで最高なMX Ergo、でも持ち運びには不向き
普段は自宅で MX Ergo を使っています。
角度を変えられるベースプレートと、しっかりした重さがあって、据え置きで使うには最高のトラックボール。
長時間の作業でも安定感があって、本当に使いやすいんですよね。

ただ、本体が約260g と重めなので、持ち運びには少し不向き。
出先で作業することも増えてきたので、「もう少し軽くて気軽に扱えるものが欲しいな」と思っていました。
シンプルな構成がちょうどいい
社用PCやiPadでは Logi Options+ が使えないため、拡張ボタンの多さというMX Ergoの魅力のひとつを活かせません。
拡張ボタンの設定はLogi Options+で端末に保存するため、Logi Options+が使えないと拡張ボタンを有効活用できないのです。
設定をマウス本体に保存するのではない点に注意!
その点、M575SPは高性能マウスに比べると拡張ボタンが少ない(3つだけ) ので、会社PCなどLogi Options+を使えない環境ではむしろシンプルでちょうどいい。
カスタマイズができなくても困らず、軽いから持ち出しやすい のもポイント。
しかも価格がMX Ergoほど高くないので、「持ち歩いて壊れてもまあいいか」と思えるくらい気楽です。
高いマウス使っても機能をフルに使えないの、なんだかもったいないですもんねぇ…。
Logi Boltでレシーバーを共通化
一緒に持ち出すキーボード(MX Mechanical Mini)は Logi Bolt で接続しているので、同じ Logi Bolt対応のM575SP ならレシーバーを共通化できる んです。
これが本当に便利。

ちなみに、僕が使っているMX ErgoはUnfying接続なのでLogi Bolt接続できません。
現行販売されているMX Ergo SはLogi Bolt対応 ですが、価格が高いのと「同じマウスを2台持つ」ことにあまりメリットを感じなかったので見送りました。
同時に使うわけではないですし、用途を分けて運用する方が現実的 だと思っています。
Bluetoothを避ける安心感
協力会社で使う社用PCをお借りして作業していることもあり、セキュリティリスクを考えてBluetooth接続は念のため避けています。
現場によってはNGとなるケースもあるので、最初からリスクを減らしておくのが安心かなと。
フリーランスとしての信頼にも関わる部分なので、ここは慎重にしています。
その点、Logi BoltレシーバーならBluetoothを使わずにペアリング接続できる ので、セキュリティ的にも安心です。
MX ErgoとM575SP、それぞれの居場所
- 自宅では MX Ergo(据え置き・拡張重視)
- 外出先では M575SP(軽量・Logi Bolt接続・シンプル重視)
この組み合わせが、今の自分のワークスタイルに一番しっくりきています。
どちらも得意なフィールドが違うからこそ、役割を分けて共存させるのがベスト という結論になりました。
M575SPを使ってわかった使い心地

最初に使ってみた感想は、「やっぱりいい」の一言。
シンプルな構成ながら、トラックボールマウスらしい快適さをしっかり味わえるモデルです。
実は、MX Ergoを使う前は M575S(M575SPの前モデル)を使っていました。
今は友人に譲ってしまいましたが、当時から使い心地には満足していて、久しぶりに触れても「やっぱりこのシリーズは完成度が高いな」と感じます。
調べたところ、2025年10月時点でAmazonのトラックボール部門 売れ筋ランキング1位。
M575Sの頃から変わらず売れ続けているのも納得です。
MX Ergoは多機能で、チルト機構による手首の負担軽減もあり、据え置きマウスとしては文句なし。
でも、M575SPのシンプルさには独特の“気軽さ”があって、使っていて不思議と心地いいんですよね。
ボールの感触と慣らし

標準の状態でも、M575SPはMX Ergoより軽やかに転がる印象。
MX Ergoはやや“しっとり系”で、ボールに少し重みを感じる動き。
M575SPはもう少しスルスルと回る感じで、指先の動きに素直に反応してくれます。
それでも「もう少し滑らかさが欲しいな」と思って、ペリックス製のトラックボールに交換しました。

この交換で操作性が一気にアップ。
軽く触れるだけでスッと動くようになり、純正のボールよりも明らかに抵抗が少なくなりました。
MX Ergoも同じペリックス製トラックボールに交換していますが、M575SPの方が滑らかに感じます。
本体の構造の違いなのでしょうか?
さらに、ボナンザ(Bonanza)というフッ素樹脂コーティング剤でボールと受け皿を軽くコーティングしました。
薄く塗って乾拭きするだけのお手軽メンテ。
これが大正解。
ボールの動きが一段とスムーズになり、「回す」より「撫でる」感覚に。
Magic Trackpadを操作しているような軽やかさで、ほんの指先の動きでもカーソルがスッとついてきます。
これは気持ちいい。
MX Ergoも同様にコーティングしてみたところ、どちらもスルスルと滑るような操作感に。
2つの差はかなり小さくなりましたが、それでもM575SPの方がほんの少しだけ軽快に感じます。
もともとノーマルの状態でも十分に気持ちよく使えるM575SPですが、ボール交換とコーティングを加えることで、さらに滑らかで快適な操作感に。
“自分の手に馴染むように仕上がっていく感じ”があって、トラックボールを使う楽しさをいっそう感じさせてくれます。
静音クリックと操作感

M575SPでは、クリック音がさらに静かになり、Logi Bolt対応で接続も安定。
以前のM575Sと比べても、動作のキレや反応速度が向上している印象です。
Bluetooth特有の“わずかな遅延”もなく、操作が軽快になりました。
特に静音クリックは、会社やカフェなど周囲が気になる環境でありがたいポイント。
夜の作業でもカチカチ音が響かず、静かに集中できます。
軽さと安定性、そして持ち運び

M575SPの軽さ(約145g)は大きなアドバンテージ。
それでいて操作中にズレることもなく、軽さと安定性のバランスが絶妙です。
僕は普段、TAVARATのガジェットポーチに入れてバッグに収納していますが、他の荷物との干渉も少なく、マウスやPCを傷つける心配もありません。
MX Ergoだとベースプレートが金属製なので、持ち運ぶときにちょっと気を使うんですよね。
M575SPはそうした不安もなく、軽快に“連れていける”感じがちょうどいい。

カラーとデザイン

今回選んだのはブラックモデル。
以前使っていたM575Sはグラファイトでしたが、操作感や形状に大きな違いはありません。
どちらも純正では青のトラックボールがついています。
そしてブラックモデルのマットな質感の本体に、光沢のある黒のペリックス製トラックボールを組み合わせることで、黒のトーン違いが重なって上品で統一感のある印象になりました。
さらに、同じくブラックの MX Mechanical Mini の隣に置くと、全体がすっきりまとまってとても気持ちがいいんです。
仕事中にふと視界に入ったときの“整っている感”があって、道具を揃える楽しさというか、使うたびにちょっと気分が上がります。
全体的に見ても、M575SPは“ちょうどいい”トラックボールという印象。
MX Ergoほどの多機能さはないものの、使いたい時にサッと取り出せて、「必要な快適さ」がちゃんと詰まっている — そんな安心感があります。

接続と運用
外でも快適に使うための工夫のひとつが、USB-Cレシーバーの導入です。
M575SPには標準でUSB-Aレシーバーが付属していますが、僕の環境(MacBook ProやiPad Air)はUSB-Cポート中心。
そのままだと地味に扱いづらいんですよね。
そして、接続台数が2台というのも悩みのタネ。
Mac・iPad mini・iPad Air・会社PCといろんなところで使うので、2台じゃ足りません。
そこで、あえてLogi Bolt USB-Cレシーバーを追加購入しました。
これが大正解。
取り回しや持ち運びがぐっとラクになり、運用全体が快適になりました。
BluetoothではなくLogi Boltを使う理由

M575SPを社用PCなどに接続する場合は、BluetoothではなくLogi Boltを使っています。
一方で、自分のMacやiPadなどではBluetooth接続も問題なく利用しています。
そのうえで、社用環境ではあえてLogi Boltを選んでいる理由は以下の3つ。
- 接続の安定性
Bluetoothだと環境によっては遅延やカクつきが出ることがありますが、Logi Boltではそうした不安が一切なし。 - セキュリティ上の安心感
協力会社の社用PCを借りて作業することもあり、セキュリティリスクを考えてBluetooth接続は念のため避けています。
Logi Boltならレシーバーとデバイス間だけでペアリングが完結するので、PCやiPad側での設定が不要で安全。 - レシーバーと接続の共通化
キーボード(MX Mechanical Mini)と同じLogi Boltレシーバーを使っているため、1つのレシーバーで両方をまとめて管理できます。
さらにBluetoothのようにOS設定が不要で、差し替えればすぐ使えるこのシンプルさが本当に便利です。
レシーバーさえ挿せばいいので、実質台数制限は無限です。
だから、Logi Bolt運用がベスト。
安定性・セキュリティ・手軽さの3拍子が揃っています。
台数制限をクリアできたのは大きい。
USB-Cレシーバーの導入

M575SPには最初からUSB-Aレシーバーが付属しています。
でも、最近のMacやiPadはUSB-Cポートが主流。
変換アダプタをかませば使えなくもないけれど、せっかくならもっとスマートに使いたいと思ってUSB-Cレシーバーを追加購入しました。

実際に使ってみると、
- 見た目がスッキリ
- iPadでも直接挿して使える(USBモデルに限る)
- 端末間の差し替えがスムーズ
と、想像以上に便利。
特にiPad miniとの相性が抜群です。

レシーバーの飛び出しが少ないので、そのまま挿しっぱなしでバッグに入れても邪魔になりません。
USB-Aレシーバーを変換アダプタでUSB-Cに変換して接続すると、出っ張りが大きくてとても挿しっぱなしにはできません。
つまり、接続の幅の広さ・取り回しのしやすさ・運用の自由度。
これがUSB-Cレシーバーを導入した最大の理由です。
会社ではUGREENのUSB-C→A変換アダプタを使うこともありますが、A/Cどちらでも性能差はなく通信も安定。
これでUSB-A/Cどちらでも利用可能になりました。
USB-Cポート中心の環境なら、これは本当におすすめです。

POP MOUSEとの使い分け

以前、iPad miniのために購入したPOP MOUSEですが、Magic Trackpadの便利さに押されてお蔵入りになっていました。
(※当時の記事はこちら → Logicool POP MOUSE|iPadでの使用感と注意点をレビュー)

ところが今回、M575SPを導入したことで再び出番が。
どちらもLogi Bolt接続に対応しているので、レシーバーを共有でき、再設定の手間もありません。
特にPOP MOUSEは、iPad miniでは扱いにくかったスピードスクロールがWindows環境ではスムーズに動作します。
この軽快なスクロール感が作業効率を上げてくれて、結果的にいいコンビになりました。
- 精密なクリックや細かい操作 → POP MOUSE
- 長時間の作業や持ち運び作業 → M575SP
作業中は、M575SPのすぐ隣にPOP MOUSEを接続したまま置いています。
場面に応じてサッと持ち替えるだけで切り替えられるので、作業のリズムを崩さず快適に使い分けができています。
マウス2台使いなんてとても贅沢ですが、なかなか便利ですよコレ。

気になるポイントをあえて挙げるなら
スペックや見た目だけでは分からない部分で、「ここはどうなんだろう?」と思う点もいくつかあります。
使っていて気づいたこと、感じたことをまとめました。
スペック上の気になる点、実際はどう?
- 拡張ボタンが少ない
MX Ergoに比べるとボタンは少なめ。
でも、Windowsでは標準設定のまま「進む/戻る」が使えますし、iPadでも AssistiveTouch で一部の操作を割り当てて使えます。
細かいカスタマイズはできないものの、僕の使い方ではこれで十分。
むしろ、どの端末でも同じ感覚で使えるのがありがたいです。
効率を考えるとカスタマイズ必須ですが、汎用性を考えると何もしないのがベターです。 - 接続台数が少ない(2台まで)
BluetoothとLogi Bolt、それぞれ1台ずつしか登録できません。
ただ、USB-Cレシーバーを導入したことで、レシーバーを挿し替えるだけでMac・iPad・Windowsをすぐ切り替えられるようになりました。
マウスとレシーバーのペアリング構造のおかげで、端末側での設定は不要。結果的に“台数制限”は意識しなくなりました。 - サイズが大きめ
一般的なマウスよりは大きいですが、トラックボールとしては標準的なサイズ。
本体を動かさずに使えるので、意外とデスクスペースも取りません。
サイズのせいで使いにくいと感じたことはないですね。
カタログスペックだけを見ると制限が多そうに見えますが、実際の使用感は「必要十分なスペック」といった印象。
使う環境さえ合えば、十分活躍するモデルだと思います。
リアルに感じた“惜しいポイント”
- スクロールホイール
ホイールには少し“遊び”があり、横に動かすとチルトホイールのような動きをします。
ただ、実際には左右スクロールではなく、押し込み式のボタン構造。
また、表面はゴム製で刻みがないため、摩擦でホコリがつきやすい点が少し気になります。
スクロールの動きはやや重めで、スピードスクロール非対応。
長いページでは何度も回す必要がありますが、動作自体は安定しており、使いづらいというほどではありません。
縦長のページをスクロールするときはひたすらホイールをゴリゴリ回すことになるので面倒ですが…。
(ここでPOP MOUSEが隣にあると活躍します。クルクルと回るホイールは快適♪) - 本体の質感
全体がプラスチック素材でできていて、MX Ergoなどの上位モデルと比べると少し“軽い印象”を受けます。
見た目の高級感という意味では控えめで、最初に触れたときはややチープに感じるかもしれません。
ただ、これは悪い意味ばかりではありません。
素材がプラスチックなので取り回しがしやすく、手汗が気になったときもサッと拭ける。
作業のたびに気を使う必要がないという点では、むしろ実用的。
毎日使うものとして考えると、“質感より扱いやすさ”に振った設計は納得です。
どれも致命的な欠点ではなく、「こういう仕様なんだな」と思える範囲。
むしろ、M575SPというモデルの“立ち位置”を象徴する要素だと感じます。
おわりに|MacとWindowsを行き来する人にちょうどいい選択

僕が M575SP を導入したのは、自宅ではMac、会社ではWindows という“二重環境”を少しでも快適にするためでした。
結果として、派手さはないけれど安定して使える、仕事道具として信頼できる存在 になっています。
MX Ergo のような上位モデルと比べるとシンプルですが、持ち出し用としてはちょうどいいバランス。
軽くて扱いやすく、どの環境でも同じ感覚で操作できるのが魅力です。
複数のOSを行き来する人や、トラックボールを初めて使ってみたい人 にとっても、この「シンプルさ」は大きな魅力。
どの環境でも同じ感覚で操作できることが、作業のストレスを確実に減らしてくれます。
MX Ergoをメインに使いつつ、サブとしてM575SPを組み合わせるのもおすすめ です。
派手さはないけれど、堅実で安定した使い心地。
環境を選ばず長く付き合えるトラックボールとして、M575SPはとても現実的な選択 だと思います。
トラックボールを始めたい人にも、現役ユーザーのサブ機としても安心してすすめられる1台です。

