MacでSteamプレイする際の関門|その正体を一つずつ確かめてみた

以前、「Parallels DesktopでSteamゲームは遊べる?」という記事を書きました。

結論としては「DirectX Version 11」がボーダーラインで、DirectX11までのゲームは快適に動くけど、DirectX12を要求するゲームは動かない、という話でした。
ゴーストトリックで「Your GPU was not supported」というエラーが出て絶望した実体験つきです。

そんなわけで今回は続編です。
「DirectX11以外にも、何かハードルがあるんじゃないか」——そんな疑問から、実際に出典元を1つずつ開いて確認してみることにしました。

今回はゲームをプレイした感想というより、気になったことを一つずつ、裏付けを取りながら調べてみた記録です。
噂を鵜呑みにせず、可能な限り出典元を直接確認しながら進めていきます。

Mac+Parallels Desktop+Windows+Steamという環境には、いくつもの”関門”が立ちはだかっていて、それぞれの潜り抜け方が違います。
この記事では、その一つひとつを回っていきます。


実際に調べ始めてみると、あちこちで同じ単語に行き当たりました。
それは、「Denuvo」です。

目次

何度も出てきたDenuvoの噂、実際に調べてみた

「このゲーム、Denuvoが入ってるから仮想マシンだと動かないかも」——ゲーマーの間ではわりとよく聞く話のようです。
まずはここから確かめていきます。

Denuvoとは何か

Denuvoは、いわゆるコピーガード——くらいの認識で、実はきちんと調べたことがないんですよね。
今回あらためて調べてみると、「Denuvo」と一口に言っても実は2種類あることが判明(Wikipedia)。

  • Anti-Tamper
    改ざん・コピー防止が本業(いわゆるDenuvo)
  • Anti-Cheat
    2019年3月発表の別製品。マルチプレイのチート対策用。
    初めてDoom Eternalに実装されたときはプレイヤーの反発が強く、1週間で撤去された経緯があります

Anti-Cheatの方はすでに使われていないとのことなので、この記事で「Denuvo」と言うときは、今も使われているAnti-Tamperを指します。
このDenuvo、本業は海賊版対策であって、正規のプレイヤーの利用を妨げることではない——これがまず大前提です。

「Denuvoのハードルは越えられない」説、出どころを辿ってみた

噂の出どころを辿ると、「ハイパーバイザーバイパス(以下HVBP)」というクラック手法の報道に行き着きました。
“ハイパーバイザー”とは、仮想マシンを動かす土台となるソフトのこと。
今回の環境で言えばParallels Desktop自身がこれにあたります。
2025年12月、「MKDev」というクラッカー集団がこの手法のPoC(概念実証)を公開し、話題になったようです。

記事を読んでみると(Tom’s Hardware)、中身は「クラッカーが薄いハイパーバイザーを仕込んで、Denuvoの検知を欺く」というクラック側の技術の話。
「VM上でゲームを普通に遊ぶ」話とは、方向がまるで逆です。

ただ、この話の中には「Denuvoはハイパーバイザーを検知しようとしている」という要素も含まれています。
おそらくこの部分だけが切り取られて独り歩きし、「じゃあ普通にVMを使っているだけの自分も、検知されてブロックされるんじゃないか」という誤解につながった——というのが今のところの見立てです。

出典元を1つずつ開いて確認してみた

噂だけで判断せず、「Denuvoが原因で動かなかった」とされる事例を一つずつ開いて、本当にDenuvoが原因だったのかを確かめていくことに。

Hogwarts Legacy(Denuvo+DirectX12)の例

Parallelsフォーラムの実スレッドを開くと、報告されていたエラーは「Failed to initialize DirectX12」(フォーラムのスレッド)。
「Denuvo」という単語は、スレッド内をどれだけ探しても一度も出てきません。原因はDenuvoではなく、後述するDirectXの要件でした。

Elden Ring(EAC+DirectX12)の例

Elden Ringが仮想環境で起動しないという話も、いくつかのまとめ記事で見かけます。
ただ気になったのは、その書かれ方。
「EACのようなアンチチートとDenuvoのようなDRMは、どちらも仮想マシンで動かない」——そんなふうにひとまとめにされていました。

Elden Ringは厳密にはDenuvo採用タイトルではありません。
実際に採用しているアンチチートを調べると、Epic Games製の「EasyAntiCheat(EAC)」でした(pcgamesn.com)。

Denuvoと無関係のはずのタイトルが「Denuvoのような」とひとまとめに語られていたのは、「アンチチート=Denuvo」という思い込みが、そのまま噂として広まっていたからかもしれません。
ちなみに公式の最小システム要件ではDirectX12も必須とされているのでこっちのハードルも以前として存在します。

Denuvoの開発元、Irdeto公式ページも確認してみた

個別の事例を見ているだけでは埒が明きません。
そこでDenuvoを開発しているIrdeto(オランダのセキュリティ企業)の公式ページで、製品仕様そのものを確認してみます(Irdeto公式)。

製品仕様には「Virtual machine detection」「Hypervisor detection」とはっきり書かれています。
DenuvoはVM(仮想マシン)やハイパーバイザーを検出する機能を、公式に製品仕様として謳っているんです。
あ、やっぱり噂はホントだったのか…。

ただ、続きを読むとニュアンスがちょっと違うっぽい。
あくまでクラック対策としての機能で、「正規のVM環境を使うプレイヤーをブロックする」という消費者向けの方針は、どこにも書かれていません。
FAQセクションを見ても、VM関連の具体的なQ&Aは存在しない——ここまでが、公式ページから読み取れる範囲です。


もう一歩踏み込んで、権限レベルという技術的な構造まで見てみます。
パソコンの内部には”リング”と呼ばれる権限の階層がいくつかあり、数字が小さいほど深く・強い権限を持ちます。
一番深い”リング0″はOSの中枢、いわゆるカーネルレベルです。
Denuvoが動いているのはドライバーを使わない”リング3″、普通のアプリと同じ権限レベルです。

リング3からでもできるVM検知には、代表的なものだけでもこれだけあります(HWIDChange)。

  • CPUID命令の判定: CPUに「仮想化されていますか」と尋ねる命令があり、VM環境だと専用のフラグが立つ
  • 仮想デバイス名の照合: VMware・VirtualBox・Parallelsなどが使う、仮想ディスクやネットワークアダプタ特有の名前を調べる
  • MACアドレスの範囲チェック: 仮想化ベンダーに割り当てられた特有のMACアドレス範囲かどうかを見る
  • タイミング測定: 一部の命令の実行時間が、VM環境だとわずかに遅くなることを利用する

共通しているのは、どれもOSに標準的な方法で”尋ねて”、返ってきた答えをそのまま信じる検査だということ。
一方HVBPは、リング3よりもさらに下の階層で動いています。

つまりDenuvoよりもHVBPの方が”深い”場所にいる、ということです。
HVBPを公開した「Kirigiri」という人物も、この構造を根拠に、DenuvoはHVBPを適切に検出できないだろうという見解を公に示しています(Tom’s Hardware)。

つまり、Denuvoの検出機能は、リング3止まりの”気配察知”レベルということ。
だとしたら、もっと深いレベルでVMを検出できる何かが、どこかにあるはずです。

結論、Denuvoの関門は顔パスだった

Denuvo単体が原因と技術的に特定できた一次報告は、ここまでの調査では見つかりませんでした。
「Denuvo」の名前でひとまとめに語られているものの正体は、実際には別の要因でした。

もちろん、あくまでこれまで確認してきた範囲での話です。
ただ少なくとも、VM検出という点に関しては、噂されていたハードルを実際に訪ねてみたら顔パスで通れた——それがここまでの調査での結論です。
DenuvoにVM検出の”目”があること自体は事実。
ですが、優先して確認すべきはDenuvoではなかった、というのが実感です。

じゃあ本当の関門はどこにあるのか、調べを広げてみた

Denuvoが無罪だったなら、本当の原因はどこにあるのか。
ということでここから調べを広げます。

動かなかった報告を、もう一度洗い直してみた

振り出しに戻って、これまで見かけた「動かない」という報告を、Denuvoという先入観を抜きに横断的に見直してみることに。
すると、Hogwarts Legacyのような描画APIが原因のケースとは別に、Elden Ringを含む一群の報告に、ある単語が繰り返し出てくることに気づきました。
それは、「アンチチート」です。
共通点は、いずれもオンライン対戦がメインのタイトルだということでした。

最大の関門、それはアンチチートだった

答え合わせのつもりでParallels公式ページを開いてみると、はっきりこう書かれています。

ほとんどのチート防止ソフトウェアは、仮想環境では動作しません。

Parallels公式KB

チート防止ソフトウェアとはつまりアンチチートのこと。
あの”もっと深いレベルでVMを検出できる何か”は、これだったんです。
なんだか探し回った結果、身近なところに答えがあった感はありますが一旦置いといて。

一口に「アンチチート」と言っても、EAC・BattlEye・Vanguardなど、実装している会社も仕組みも違う複数の製品の総称です。
カーネルレベル(OSの深い部分)で常時監視していて、システム全体を見渡せる——だからこそ、「目の前の環境が、実は書割(セット)なんじゃないか」ということまで見抜いて、怪しければ問答無用で締め出せる。
VM検知そのものが、その存在目的なんです。
実際、Epic Games公式もEACについて「仮想マシンには対応していない」と明言しています(Epic Games公式)。

ちなみにParallels公式ページには「動作確認済み」タイトルの一覧もあり、その中にRocket League(EAC採用タイトル)も名前を連ねています。
ただ、このリストのレビュー日は、Rocket LeagueでEACが必須化された2026年4月28日のわずか20日前。
今も動くかどうかは怪しく、Parallelsフォーラムには実際にEACが仮想マシンでの起動を拒否するという報告も見つかりました(Parallelsフォーラム)。

真犯人が分かったところで、ここから先はその手強さを裏付ける材料と、調査の途中で見つかった他のハードルたちを、少し駆け足で見ていきましょう。

なぜApple Siliconだと分が悪いのか

アンチチートの手強さをさらに掘り下げていくと、Apple Silicon Mac特有の事情も見えてきました。
アンチチートはカーネルドライバーとして動作するため、CPUアーキテクチャが変わるとその都度、個別に移植し直す必要があります

例えばEAC。
ARM64への対応が始まったのは2025年に入ってからのことでした。
Apple SiliconのParallels上で動くWindowsはARM64アーキテクチャなので、この対応状況がそのままゲームの動作を左右することになります。
実際に足止めされている報告があったのは、Fortnite・Lost Ark(Parallelsフォーラム)など。
仮想環境かどうかというハードルに、CPUアーキテクチャの違いという壁まで重なっている、というわけです。

さらにハードルが上がっている

Steam配信タイトルではないですが、参考情報として。
Riot Games自社開発のVanguard(League of Legends・TFT・VALORANTなどで採用)は、この厳格化を象徴する例でした。
新モード「On-Demand」では、TPM2.0やSecure Bootといった最新のセキュリティ要件が求められるようになり、対応できているPCはまだ全体の約35%にとどまっているそうです(Riot公式発表)。
具体的な要件の中身は、後ほど「TPM2.0/Secure Boot」のところでまとめて扱います。

関門を通れても、後から連れ戻されることもある

Destiny 2の開発元Bungieは、ちょっと毛色の違うケース。
アカウント制限・BAN方針をまとめた公式ページに、禁止行為の一つとしてこう明記されています(Bungie公式)。

改変されたOSファイル(エミュレーターと仮想マシンを含む)

つまり、技術的に通過できてしまった場合でも、規約違反としてアカウントが恒久的にBANされる対象になる、ということ。
動いてもBANされるなんて、なんてトラップ…。
「通れるかどうか」だけじゃなく、「そもそも通行自体がご法度な場合がある」という、また違う種類のハードルがあるわけです。

他のハードルも存在

Denuvoとアンチチートを調べる過程で遭遇した、前回記事のおさらいや直前の話の延長も含めて、残りの項目をまとめて整理しておきます。

DirectXの関門(前回記事のおさらい)

前回の記事の結論そのままですが、Parallelsが対応しているのは「DirectX11」まで。
表示上はDirectX12と出ることもありますが、実際の機能レベルは11.1が上限です。

今回新たに、以下の2つの事例も見つかりました。

  • Company of Heroes 3
    対応するハードウェアレンダリングデバイスが見つからず、起動に失敗(フォーラム)
  • Street Fighter 6
    DirectX12用のデバイス生成でエラーが発生し、起動に失敗(フォーラム)

Street Fighter 6については、Parallels公式スタッフ本人が「DirectX12非対応が原因」と回答しているので、かなり確度の高い事例です。

購入前にDirectXバージョンを確認したい場合は、まずSteamストアの「システム要件」欄をチェックしてみてください。
ただしゲームによって書き方がバラバラで、DirectXの記載がないこともちょくちょくあります。
そんな時は、PCGamingWikiの該当ゲームページにある「API」欄を見ると分かることがあります(英語サイトですが、見るのはその1項目だけでOKです)。

Vulkanの関門(そもそも対応していない)

DirectXとは別の描画APIに、Vulkanというものもあります。
Parallelsはこちらにはそもそも対応していません。
2019年からフォーラムで対応要望が出ているものの、2026年7月時点でも実装されていないままです(フォーラム)。

該当タイトルを1つずつ調べてみると、No Man’s Sky・Warhammer 40,000: Gladius – Relics of War・Quake Remastered(2021)の3本はVulkanが唯一の選択肢で、これがそのままハードルになります。

一方DOOM(2016)とEvil Genius 2は、実はVulkan以外のAPI(それぞれOpenGL、DirectX12)も選べるのですが、その代替APIもParallelsの対応範囲外(OpenGLは3.3まで、DirectXは11.1まで)なので、結局どちらにしても動きません。
求められるAPIがDirectXでもVulkanでもOpenGLでも、対応していないものはどうしようもない、という結論は変わらないというわけです。

ちなみにQuake Remasteredには、コマンドライン引数でDirectX11に強制切り替えする裏技的な方法があるという情報もありますが、公式にサポートされた選択肢ではないため、ここでは含めていません。

TPM2.0/Secure Bootの関門

TPM2.0やSecure Bootは、Windows11自体が求めるセキュリティ機能。TPMはMacで言うSecure Enclaveに近い、暗号鍵を管理する専用チップです。
改ざん検知やブートプロセスの保護ができる仕組みですが、これを応用すると「起動しているのが本物のPCか、仮想マシンか」もある程度判別できてしまいます。
アンチチートの一部は、Windowsが本来持っているこの判定機能をそのままVM対策に利用しているというわけです。
つまりここは二段構えの関門。

  1. TPMチップとSecure BootをVM側で用意できるか
  2. 用意できてもその先でアンチチートが「VMだから」という理由だけで拒否するかどうか
    という2段階の認証になっているということです。

Parallels Desktop 17.1以降は、新規のWindows11 VMに仮想TPM2.0が自動的に追加され、Secure Bootも自動的に有効になる仕組みです(公式KB)。
ただ比較的新しい機能のせいか、「Secure Boot機能によりOSが起動できません」というエラーも報告されているとか。
まぁその後のアップデートで修正されたみたいですが(公式KB)。

さてこのTPM/Secure Bootのチェック、実は先ほどのVanguard「On-Demand」が要求水準を引き上げた張本人です。
TPM2.0・Secure Boot・VBS・HVCI・IOMMUといった仕組みを組み合わせて、アンチチートとして使うようになってきていますが、細かい用語を覚える必要は特にありません。

同じような動きは、他のアンチチートにも見られます。

  • Battlefield 6(EAのJavelin)
    TPM2.0+Secure Bootを必須化していて、公式ページには「VM/エミュレーション」の検知が脅威カテゴリとして明記されている(EA公式)
  • Call of Duty: Black Ops 7(ActivisionのRICOCHET)
    同様に必須化していて、未達成時はランクマッチなど特定モードが制限される段階的な仕組みになっている(Activision公式)

Windowsが持つ「本物のPCかどうか確かめる仕組み」を、アンチチートも使い始めている、ということ。
アンチチートが求めるセキュリティ要件は、この先もどんどん厳しくなっていきそうです。

関門を越えた先の道の状態(VRAM割り当て)

最後はちょっと毛色の違う話。
そもそもApple Siliconは統合メモリ(UMA)採用なので、「専用グラフィックメモリ」という概念自体がありません。
その代わり、VMに割り当てたシステムメモリの最大50%が、グラフィックス用に使われるという仕組みがあります(公式KB)。
たとえばVM側のRAMを4GB割り当てている場合、Windowsが使えるvRAMは最大2GBまでになる、というイメージです。

ネイティブのWindows PCなら、仮想化を挟まない分チップの性能をフルに使えますし、専用グラフィックボードを積めばさらにブーストできます。
Mac+Parallelsの場合は、統合メモリ由来の制約に、VMの50%上限という制約がもう一段重なる形です。

これは関門を通れるかどうかの話ではなく、その先の道が舗装されているか砂利道か、という快適さの話です。
正直、Denuvoよりもよほどこっちの方が実害がありそうだと感じました。

例えるなら、潜入スパイの任務みたいなもの

ここまで見てきた障壁、まとめて並べてみると、なんだか諜報活動をしているスパイの任務に近い気がしてきました。
潜入先に馴染むために、いろんなレベルで”審査”をクリアしないといけない——という感じでしょうか。

①基礎能力——そもそも、その土地の言葉を話せるか

DirectXやVulkanは、いわば潜入先の”言語”です。
ゲーム側が「Vulkanで話しかけてくる」のに、Parallels側がその言語をそもそも喋れなければ、会話は一切成立しません。
どれだけ完璧に化けていても、言葉が通じなければ潜入以前の話——これがDirectX/Vulkanの壁の正体です。

②審査基準——潜入先ごとに違う、身分証のハードル

TPM2.0やSecure Bootは、施設に入るための身分証チェックのようなものです。
ゆるい施設ならTPM+Secure Bootだけで通してくれますが、厳重な施設(Vanguardなど)はさらに強化版の審査(VBS・HVCI・IOMMUといった追加要件)を求めてきます。
身分証自体は用意できても、施設によって通用するかどうかが変わる、というわけです。

③継続的観察——潜入中、ずっと見られている

無事に施設へ入れても、そこで過ごす以上は周囲からの観察が続きます。
Denuvoは「なんか違う?」くらいの世間話レベルの違和感チェックで、たいていは誤魔化せてしまうレベル。
一方アンチチートは、カメラも解析機器も揃えた本格的な監視体制で、深いところまで見られてしまいます。
これが今回の調査で分かった、最大の壁の正体でした。

④道具の性能——足を引っ張るとしんどいが、即アウトではない

VRAMは、支給されたスパイ道具の性能のようなもの。
通信機が遅い、カメラの画質が粗い、データケースの容量が足りない——任務そのものは遂行できても、快適さはガクッと落ちます。


こうして分類してみると、Mac×Steamの障壁は「そもそも喋れるか」「身分証が通用するか」「観察に耐えられるか」「道具は十分か」という、性質の異なる4種類の”審査”が組み合わさっている、と言えそうです。

ゲーム別・関門通過早見表

本文で紹介しきれなかった細かい事例も含めて、一覧にまとめました。
気になるタイトルがあれば探してみてください。

なお、タイトルによってはApple Silicon Mac向けのネイティブ版が用意されている場合もあります。そちらが使えるなら、Parallelsを介さずそちらを使うのも一つの手です。

情報源の取得時期はそれぞれ異なるため、ゲーム側のアップデートなどで状況が変わっている可能性がありますので、プレイ前にご自身でも最新情報を確認することをおすすめします。

✅動く ❌動かない ⚠️動いても規約上NG ❓不明(要件はあるが実際の動作報告なし)

スクロールできます
ゲーム該当する関門状況情報源備考
ゴーストトリックDirectX実機確認DirectX12要件。
「Your GPU was not supported」で起動失敗
逆転検事コレクション(体験版)DirectX実機確認DirectX12要件、起動失敗
Hogwarts LegacyDirectXフォーラム報告DirectX12要件。
「Failed to initialize DirectX12」
Company of Heroes 3DirectXフォーラム報告DirectX12要件。
「Unable to find a supported hardware rendering device」
Street Fighter 6DirectX公式回答DirectX12要件。
「D3D12CreateDevice Failed」、Parallels公式スタッフが原因確認
大逆転裁判1&2DirectX実機確認DirectX11要件。
快適動作
Yu-Gi-Oh! Master DuelDirectX実機確認DirectX11要件。
問題なく動作
魔法使いの夜DirectX実機確認DirectX11要件。
快適動作
ValheimDirectXユーザー報告DirectX11要件。
快適動作(MacRumors)
TerrariaDirectXユーザー報告DirectX 9.0c要件。
快適動作(同上)
RimworldDirectXユーザー報告DirectXバージョン非公開。
快適動作(同上)
Dwarf FortressDirectXユーザー報告DirectXバージョン非公開。
快適動作(同上)
Crusader Kings 3DirectXユーザー報告DirectXバージョン非公開。
快適動作、ネイティブMac版より高速との報告(同上)
HumankindDirectXユーザー報告DirectX11要件。
快適動作(同上)
Lord of the Rings OnlineDirectXユーザー報告DirectX 9.0c要件。
1680×1050・Very High設定で約50fps、完璧に動作(同上)
Baldur’s Gate 3DirectX公式情報(未実機)DirectX11要件でParallelsの対応範囲内(Steam公式・Parallels公式で確認)。
ただしApple Silicon向けネイティブMac版があり、Parallelsを使う必要性は薄い。
実動作の裏付けは弱い
No Man’s SkyVulkan仕様確認Vulkan必須、代替APIなし
Warhammer 40,000: Gladius – Relics of WarVulkan仕様確認Vulkan必須、代替APIなし
Quake Remastered(2021)Vulkan仕様確認Vulkan必須、代替APIなし
DOOM(2016)Vulkan仕様確認OpenGL選択可能だがParallels未対応のため結局不可
Evil Genius 2Vulkan仕様確認DirectX12選択可能だがParallels未対応のため結局不可
Fortniteアンチチート(EAC)フォーラム報告Parallelsフォーラムで報告あり
Lost Arkアンチチート(EAC)フォーラム報告Parallelsフォーラムで報告あり
PUBGアンチチート(BattlEye)フォーラム報告Parallelsフォーラムで報告あり
Elden Ringアンチチート(EAC)・DirectX公式情報EasyAntiCheat(Denuvoではない)。公式最小要件はDirectX12
Albion Onlineアンチチート(BattlEye)フォーラム報告BattlEyeエラー
Apex Legendsアンチチート(EAC)公式回答仮想マシン非対応(Epic公式)
Rustアンチチート(EAC)公式回答仮想マシン非対応(Epic公式)
Rainbow Six Siegeアンチチート(BattlEye)公式回答Ubisoft公式バグトラッカーに報告あり
Rocket Leagueアンチチート(EAC)フォーラム報告EAC必須化(2026年4月28日)後、仮想マシンでの起動を拒否する報告あり
Counter-Strike 2アンチチート(VAC)解説記事Parallelsで動作、VACも機能するが、仮想化環境でのVAC切断・誤BANのリスクが報告されている。レイテンシも課題
GTA V(ストーリーモード)アンチチート(BattlEye)公式回答BattlEyeはGTA Onlineのみ適用、ストーリーモードは無効化可能(Rockstar公式)。
Parallels上での実動作報告は錯綜しており断定できず
GTA Onlineアンチチート(BattlEye)フォーラム報告Parallels上でブロックされたという報告・動作したという報告の両方があり、断定できず
Destiny 2規約(BAN)⚠️規約上の注意VM使用自体が禁止行為、恒久BAN対象
League of LegendsTPM/Secure Boot
アンチチート(Vanguard)
解説記事VM上での実行拒否を確認済み。
Steam非配信・参考情報
TFT(Teamfight Tactics)TPM/Secure Boot
アンチチート(Vanguard)
解説記事VM上での実行拒否を確認済み。
Steam非配信・参考情報
VALORANTTPM/Secure Boot
アンチチート(Vanguard)
解説記事VM上での実行拒否を確認済み。
Steam非配信・参考情報
Battlefield 6TPM/Secure Boot
アンチチート(Javelin)
公式情報(未実機)要件あり、VM/エミュレーション検知が公式脅威カテゴリに明記。
VM上の実動作報告は未確認
Call of Duty: Black Ops 7TPM/Secure Boot
アンチチート(RICOCHET)
公式情報(未実機)要件あり、未達成時は段階的制限。
VM上の実動作報告は未確認

おわりに|それでも僕がMacでSteamを遊ぶ理由

MacでSteamゲームをプレイするのは、ぶっちゃけそれなりにハードルが高いと思います。

ただ、普段使っているMacをそのまま使いたい人や、複数台持ちが性に合わない人もいるはずです。
Macで遊ぶという制限があるからこそ楽しめる部分もあるのかなと思います。
僕はMacが好きですし、MacでSteamを楽しめるのであれば、それが一番自分のスタイルに合っています。

なぜMacでゲームをするのが楽しいか。
そもそも僕自身が技術者・エンジニアであり、アンチチートやDirectXのようなハードルを一つひとつ解決していくこと自体にも楽しみを覚えているからかもしれません。
ゲームをすることだけが目的なら、最初からWindowsを選んでいます。
MacでSteamを楽しむという、ある意味ハードルの高い状況そのものを、ゲームとして楽しんでいるという面もあるのだと思います。

実際、今回調べてみて感じたのは、当初はDirectXだけがハードルだと思っていたけれど、それ以外にもアンチチートやTPM2.0、Secure Bootなど、様々な点でハードルが存在していたということです。
今まで遊べていたのは、たまたまそういったハードルに引っかからずに済んでいただけなんだな、と実感しました。

それでも、今回の結果を踏まえてWindowsを用意してSteamゲームを楽しむかというと、僕自身はそこには行かないと思います。
さっきも言ったように、この様々なハードルを乗り越えること自体が、僕にとってのゲームの一つになっているからかもしれません。

ある意味、縛りプレイの極地です。
他の人に強制はしません。
むしろゲームを楽しみたいなら、素直にWindowsを買いましょう。

それでも、僕と同じように「Mac大好き、Apple大好き」という人には、このハードルを乗り越えて、やりたいゲームをMacで動かせて楽しめるということ自体を、一つの達成感として楽しんでもらえたら嬉しいです。

気になるタイトルがあれば、上の早見表で個別にチェックしてみてください。
この記事がMacでゲームを楽しみたいみなさんの参考になればうれしいです。

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